『ワイルド・スタイル』:「周縁」としての若者、DJとラップの原点

シンプルなビートを彩る切れ間なく流れ込む言葉。

今では懐かしいこれでもかと韻を踏むラップ。

まさにアナログレコードをいじり倒す「DJ」といわんばかりのスクラッチ音。

ラッパーを活かすも殺すもDJの手腕にかかっている。

そんなDJ文化の根源をこれでもかと描く映像。

ストリートカルチャーのマスターピース/映画『Wild Style』予告編

チャーリー・エーハーン監督 『ワイルド・スタイル』(Wild Style、1982年、アメリカ)

実は映画の物語中に歌や音楽が入り込みすぎるのは、あまり苦手な方なのだが、

本作のラップやビートはどこか心地よい。

正直、昨今のあえて韻を踏まないだらだらとしたラップ音楽に少し滅入っていたところ

少し原点回帰と言うか、ラップとは何かを思い起こさせてくれた。

さらに

 

Breakin' Official Trailer #1 – Christopher McDonald Movie (1984) HD

ジョエル・シルバーグ監督 『ブレイクダンス』(Breakin’、1984年)

この映画も思い起こさせた。

ビースティボーイズ

Run-DMC

Public Enemy

LLクールJ

Naughty by Nature

など80年代に活躍したラップ系音楽のビートやリズム。

こういうところからきているんだなとわかるBGM。

物語の流れの説得力や役者たちの演技は少し弱い印象はあるが、

公共の場に「グラフィティ」としてスプレーで絵を描くことの背徳感と

できあがった際の芸術性の間の葛藤を超えて

若者の行き場のない自己主張が表彰される。

その時代の経済、文化、状況を反映しながら。

 

そういえば

名匠ケン・ローチの新作『家族を想うとき』予告編

ケン・ローチ監督『家族を想うとき』(Sorry We Missed You、2019年、イギリス・フランス・ベルギー)

でも新自由主義に翻弄される家族の長男。

グラフィティ活動を心のよりどころとしていた。

 

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