ダニー・ボイル監督『イエスタデイ』が描く異文化融合の前提

 

ダニー・ボイル監督『イエスタデイ』(Yesterday, イギリス・アメリカ、ワーキング・タイトル・フィルムズ、2019年)

 

映画『イエスタデイ』予告

 

イギリスと音楽に関して調べていて出会った映画。

ダニーボイル監督ということで興味があり視聴。

気になる点を考察。

主人公ジャックとイギリス英語

労働移民は基本的に、労働力としてやってきます。

英語圏の映画に出てくる白人「でない」人々の特徴は。

とりあえず話せればよい、

出身地のなまりが強く出た英語を話します。

もしくはカタコトの英語。

 

そんな中、主人公ジャックの英語は

現地の人も話す「イギリス英語」。

それも若者が話す現代風のコックニー風のイギリス英語。

 

興味深いのは、彼の両親の話す英語もイギリス英語。

言語としては既にイギリスとの融合が前提の設定。

仲間たちと良好な関係を築き、幼馴染のエリーからは恋愛まで持たれている。

 

さらに、主人公がミュージシャン。

また世界的に有名とはいえ、イギリス、リバプールのビートルズをほぼ完ぺきに歌える前提。

彼らがイギリス文化と「既に」融合してます。

融合しないままの異文化理解は難しい

それでは言語ができていない状態で融合はできるでしょうか

非常に難しいです。たとえば、

  • 短期的な労働
  • 目の前の利益のため

これが目当てで他国で生活をするとなると、言語や文化はどうなるでしょう。

とりあえず生活や仕事ができればよいので

カタコトでいいや

となりやすいです。

ましてやその国のポップやロックを完璧に歌える、なんて無駄です。

そんなの歌わなくても労働はできます。

ましてやそんな時間を使うなら働くでしょう。

そうなると、一人、あるいは、自国の仲間同士で時間を過ごします。

これで異文化を理解しよう、多文化共生、など無理です。

 

今の日本の政治経済を見てみると

技能実習生(事実上移民政策)。

他国の人が学ぶ、働くこと自体は尊い。

でも、短期的な人手不足を補うのがバレバレの制度設計。

これ、他国の文化や言語習得を甘く見ていないだろうか。

 

その国の言語が「普通」に使えることで、異文化理解は深まっていく。

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